この記事では、ナレッジ共有の基本概念と重要性、共有が進まない理由と対策、組織内で共有文化を構築するための実践的なヒント、そして成功事例を紹介します。
最終更新: 2026年5月。「ナレッジ共有が進まない理由と対策」「成功事例」「よくある質問」セクションの追加と最新の事例を反映しました。
情報の共有は、私たちが毎日行うことです。ちょっとしたメッセージ、コーヒーを飲みながらの会話、電話すらも、すべてが知識共有の例と言えます。
しかし、ワークプレイスでの知識の共有を効果的に行うには、戦略、一貫したコミュニケーション、定期的な更新が必要となります。以下にその方法をご紹介します。
ナレッジ共有とは、組織が複数のチームを超えて重要な情報にアクセスできるようにするプロセスです。ナレッジマネジメントにはさまざまなサブセットがありますが、中でもナレッジ共有は情報の分配プロセスを指します。チームが必要な時に情報にアクセスし、他のメンバーと共有する方法を確立するものです。
知識には主に 3 つの種類があります。
形式知: 簡単に記録や伝達が可能で、共有しやすい情報です。たとえば、新しいメールアカウントへのログイン手順などが形式知に当たります。
経験知: 行動によって学ぶ知識です。車の運転の仕方を読んで理解することはできても、実際に乗ってみなければ運転を覚えることはできません。
暗黙知: 個人の経験から得られる知識で、文化的背景にも左右されるため、人から人へ伝えることが難しい種類の情報です。たとえば、セールストークを成功させる方法は暗黙知の好例です。スクリプトで練習はできますが、相手に耳を傾け、細かいニュアンスを理解する力は、実践と経験によってのみ身に着きます。
野中郁次郎氏が提唱した SECI モデルでは、暗黙知と形式知が「共同化、表出化、連結化、内面化」の 4 つのプロセスを通じて相互に変換されます。ナレッジ共有を効果的に進めるには、この変換サイクルを意識することが重要です。
ナレッジ共有とナレッジマネジメント (知識の管理) は、密接に関係した 2 つのプロセスです。ナレッジマネジメントは情報の整理、調達、保存に関する包括的な戦略であり、ナレッジ共有はその中の情報分配プロセスです。
公共図書館に例えると、本を集めて棚に並べるのがナレッジマネジメント、情報を必要とする人にそれらの本を貸し出すプロセスを作るのがナレッジ共有です。
ナレッジ共有は、企業文化の土台を築くための重要な要素です。役割に関係なく、会社内で情報をどう伝達し、共有するかの基調となります。
チームメンバー同士が知識を共有することは、コラボレーションを増やし、チームワークを向上させる優れた方法です。プロセス、コミュニケーション方法、戦略に関する文書といった重要な情報を共有しましょう。情報のサイロを打破し、プロジェクトに必要な情報をチーム間で共有することができます。
知識共有のプロセスにより、チームは重要な情報のための信頼できる唯一の情報源を確立できます。チームのプロセスから職場での行動規範まで、あらゆる情報が対象です。誰かが情報を必要としている時に、どこを探せばよいかが明確にわかるようになります。
チームが関連情報を定期的に共有し、データベースに保存していれば、全員が重要な情報にアクセスできるようになります。特定の人だけが情報を持っている状態は、その人が病気になったり退職したりした場合にリスクとなります。
ナレッジ共有とは、誰が関与しているかに関わらず、ワークフローを円滑に機能させるために必要な情報を、チームの他のメンバーも把握していることを意味します。
ナレッジ共有の重要性を理解していても、実際にはなかなか浸透しないケースが少なくありません。ここでは、組織でナレッジ共有が進まない代表的な理由と、それぞれの対策を紹介します。
多くの組織では、ナレッジ共有のための明確なプロセスやルールが存在しません。個人の判断に委ねられているため、日常業務に追われる中で優先度が下がりがちです。
対策として、ナレッジ共有を業務フローの一部に組み込みましょう。たとえば、プロジェクト完了時に振り返りを行い、学びを記録するステップをワークフローに追加します。共有が「特別な作業」ではなく「自然な流れ」になることが重要です。
ナレッジを共有しても、個人にとっての直接的なメリットが感じられないと、積極的な行動にはつながりません。「自分のノウハウを教えると、自分の価値が下がるのではないか」という心理的な障壁もあります。
この課題には、共有した人を組織として認め、称賛する仕組みが有効です。ナレッジ共有の貢献度を可視化し、定例ミーティングで紹介するなど、共有が評価される文化をつくりましょう。
ナレッジ共有のためにツールを導入しても、操作が複雑だったり、既存の業務ツールと分離していたりすると、定着しないことがあります。結果として、情報が散在し、必要なナレッジにたどり着けない状態が生まれます。
解決策は、日常的に使っている業務ツールにナレッジ共有の機能を統合することです。プロジェクト管理ツール上でドキュメントやノウハウを直接共有できれば、追加の手間なくナレッジが蓄積されます。
ナレッジ共有は、一人やひとつのチームだけの責任ではなく、組織全体の取り組みです。以下に、効果的にナレッジ共有を促進するためのヒントを紹介します。
ナレッジ共有を始めるには、まずナレッジマネジメントの戦略を策定する必要があります。情報の収集、整理、共有の方法を概説する計画を立てましょう。
この計画で以下のことを規定します。
情報を記録するプロセス
情報を更新するプロセス
情報を共有するプロセス
戦略を策定することにより、チームに必要な情報をどのように提供するのかというビジョンを持つことができます。
知識を共有する文化がなければ、そのプロセスは続きません。知識の共有とオープンなコミュニケーションを組織文化に積極的に組み込むことが重要です。
リーダーとして、オープンなコミュニケーションと知識共有の模範を示すことが大切です。チームメンバーが安心して自分の知識を伝えたり、質問したりすることができる心理的安全性のある環境を作りましょう。
知識を共有するための方法はさまざまあります。チームのために、できるだけ多くの知識共有の機会を作ってあげましょう。
定期的なチームミーティング
メンタープログラム
ワークショップ
社内のナレッジベース
これらの場を活用して、チームメンバーがさまざまな方法で知識を共有できるようにしましょう。
知識の伝達に積極的に貢献しているメンバーを認識し、称えることが大切です。直接責任者 (AOR) を明確にすることで、誰がどの分野のエキスパートであるかをチーム全体で把握できます。
エキスパートを認識することは、その人の貢献を評価するだけでなく、組織としてナレッジ共有を大切にしているというメッセージにもなります。
情報を一元管理できるナレッジベースを確立することが不可欠です。チームの重要な情報を集約し、誰でもアクセスできるようにする仕組みです。
ナレッジベースを効果的に活用するためのポイントは次のとおりです。
情報をカテゴリ別に整理する
定期的にコンテンツを見直し、更新する
検索しやすい構造にする
チームメンバー全員がアクセスでき、編集もできるようにする
プロジェクト管理ツールをナレッジベースとして活用すれば、日々の業務と知識の蓄積をシームレスに連携させることができます。
ナレッジ共有の取り組みを成功させている企業の事例をご紹介します。
富士通では、ハイパフォーマーが持つノウハウや成功パターンをライブラリ化し、組織全体で活用できる仕組みを構築しました。個人に蓄積されていた暗黙知を形式知に変換することで、業務効率が 30% 向上しています。
ベテラン社員の退職や異動による知識の流出を防ぎつつ、新しいメンバーの早期戦力化にも貢献しました。
Hello Social では、オンボーディングプロセスをテンプレート化し、新メンバーが必要な知識に迷わずアクセスできる環境を整えました。その結果、業務効率が 20% 改善し、NPS (顧客推奨度) も 12% 向上しています。
定型化されたナレッジ共有の仕組みがあれば、組織の成長に合わせて新しいメンバーを迎え入れるプロセスもスケールさせることができます。
このほか、SmartHR のカスタマーサクセスチームでもタスクの手順や課題をダッシュボード上で共有し、チーム全体の対応品質を安定させています。
ナレッジ共有は、チームの連携を強化し、情報のサイロ化や属人化を防ぐための重要な取り組みです。共有の文化づくり、適切なツールの導入、そしてエキスパートの認識と活用が、成功への鍵となります。
まずは小さな一歩から始めてみましょう。プロジェクト管理ツールを活用して、日常業務の中でナレッジを自然に蓄積、共有できる仕組みを整えることが大切です。Asana を使えば、タスクやプロジェクトの中でチームの知識を一元管理し、誰もが必要な情報にすぐアクセスできる環境を構築できます。
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